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創発科学研究科 博士後期課程
創発科学専攻(社会創発プログラム)
2024年度 入学
では、まず1番目の質問です。普段どんなお仕事をされていますか?ご説明いただけますか?
私は税理士として、税理士法人に社員税理士として勤務しています。税理士の仕事というと税金計算が一番イメージされやすいですが、もちろんその仕事もしています。ただ、私たちの仕事はそれだけではなくて、毎月お客様のところに訪問して、会計書類を見て数字を集計し、その結果を基に経営者の方と話をすることが多いです。さらに、経営者と月に一度お会いして、経営の状況や数字を元に意見交換をすることが大事な業務です。
また、年に1回ぐらい「決算検討会」と呼ばれるものも開催します。これは、決算の結果を関係者と共有し、今後の5年間のビジョンなどを語る場です。金融機関や他の関係者を招いて行うこともあります。このように経営者との深い信頼関係を築きながら、税理士業務を行っています。
なるほど、ありがとうございます。「農業経営の顧問先を担当している」とのことでしたが、そのあたりについてもお話しいただけますか?
私はもともと農学部を卒業していて、農業経営に関心がありました。うちの事務所は香川県内で多くの農業法人を顧客に持っていて、農業部門が強いんです。税理士業界では農業経営を専門にするところが少ないので、私は農業経営のみに絞って顧客を担当しています。具体的には、畜産業や野菜農家、花卉(かき)農家など、さまざまな農業法人を担当しています。
ありがとうございます。それでは、学部で農学を学ばれてから大学院に進まれた経緯についてお伺いしたいのですが、大学院に進学しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
私は元々農業に強い興味があり、大学では農学部の農業経済学科を卒業しました。しかし、その後しばらくは家庭の事情で働くことを避け、主婦業に専念していました。子供が成長し、再び働くことになり、税理士事務所での仕事に就くことになりましたが、その際、税理士としての資格がないと仕事の幅が広がらないと感じるようになりました。そんなとき、香川大学の法学部修士課程で税理士の資格を取得できることを知り、大学院への進学を決めました。
なるほど。では、大学院進学にあたり、修士課程で法学を学ぶことに関して不安や苦労した点はありましたか?
はい、やはり法学部の出身ではないため、民法や学問としての法律を学んだことがなく、その点は不安でした。特に、学問としての基礎から学ぶ必要があり、ビハインドがあると感じることもありました。ただ、実務経験があったので、社会人として培った知識がその穴を埋めてくれました。実際、法律の基本を学びながらも、実務経験を活かすことで進んでいけたと感じています。
なるほど、実務経験がしっかりと支えになったということですね。それでは、現在の研究内容についてお話しいただけますか?
今、大学院では農業経営に関連するテーマで研究をしています。具体的には、農業経営者との会話を通じて、農業の持続可能性や効率性を高める方法を探っています。特に、農業の中で「耕畜連携」という取り組みがあり、これは畜産業の排泄物を有機肥料として利用し、それを農地に戻していく循環型のシステムです。このシステムを活用することで、環境への負荷を減らし、肥料の輸入に依存しない形を作ることができます。
さらに、このシステムを活用することで、耕作放棄地の問題にも取り組めると考えています。香川県内でもすでに多くの農業経営者が実践しており、私の顧問先でもその取り組みを進めている方がいます。これをさらに深めて研究し、実務に役立てていければと思っています。
とても興味深いですね。では、最後に、この大学院を検討している方々に一言お願いします。
大学院に進学することは決して簡単ではありませんが、実務で培った経験を学問として深めることができる貴重な機会だと思います。自分の専門性をさらに広げたい、深めたいという思いがあれば、この大学院で学びを深めることができるはずです。これから進学を検討している方には、自分の興味や仕事にどう結びつけていくかを考えてみてほしいですね。